私がその烟台市龍口に滞在時の水道は、毎晩9時から翌朝まで断水した。
9時きっかりに断水するわけではなく、9時前だったり9時過ぎだったりした。
そのため、運が悪いとシャワーの真っ最中に水が出なくなり、体に残った石けんの泡をふき取って出てくることもあった。
明け方水道管の方から音が聞こえると、水が復旧したかな、と思ったものだ。
住み始めて大分経ってから中国人の先生から、「キッチンの水道とトイレ・シャワー室の水道は別経路で、トイレ・シャワー室の水道水はきれいでない」と聞かされた。
それまでにトイレ・シャワー室の水道水をよく飲んでいたので、もっと早く教えてもらいたかったと思った。
確かに一度洗濯機を動かしているときに、水道水から真っ黒い水が出てきてビックリしたことがあった。
しかし、きれいなはずのキッチンの水道水にも、緑色の藻のようなものがいつも混入していた。
一度、外国語学部長の買先生にそのことについて訴えたことがあった。
いずれにしても中国での生活が不便であろうことは、渡航前にわかっていたことなので、おおむね受け入れられた。
水にまつわることでは、私が蓬莱市の学校に赴任していた時は年末年始で、お風呂がとても寒かった。
学校側にお願いして、宿舎の浴室に中国でよく普及している暖房器具を1つ設置してもらったが、浴室が広かったこともあり、ただ1つでは全く暖かくならなかった。
しかたなく、シャツを着たままお風呂に入った。
シャツを着たまま湯船に入り、最後にシャツを脱いで上半身を洗った。
当時は、まだ30歳代前半だったのでそんなガマンもできた。
その数年後に滞在した上海は、さすがの大都市だけありインフラが整備されていて、断水することは少なかった。