上海での引越し劇

青島市の公安局で4時間拘留されてからは、ある町に着いたら速やかに最寄りの交番に到着の届出をすることを肝に銘じた。

2010年に妻と一緒に上海のアパートで住むことになり、上海到着後すぐに最寄りの交番に行き到着の届出をしようとした。

ところが、そのアパートの室の所有者が公的に登記されておらず、届出が受理されなかった。

 

上海市長寧区虹纺小区にある6階建ての棟の6階東端の室で、大家は上海市の女性の公務員であった。

70万元以上の価格で購入したというが、ボロボロのアパートで、隣の室の浴室の換気窓がこちらの室の玄関につながっているという、日本では考えられない構造だった。

つまり、隣の住人がお風呂に入った後、換気のため窓を開けると、こちらの玄関に湯気が立ち込めた。

部屋の中にキノコが生え、水洗トイレは壊れていて桶に水をくんで流さなければならなかった。

台所にあるガラス窓は、しっかり閉めることができず、風が強い日には、窓がガタガタ鳴った。

 

妻は、所有者の公務員の女性に室の登記をしてもらえないか直接交渉したが、「登記はしない」と言われた。

不動産屋によると、固定資産税、家賃収入による所得税を逃れるため、登記をしない不動産所有者が少なくないということだった。

到着の届出ができないと不法滞在になり、何らかの不利益をこうむる恐れがあるので、私たちは、仕方なく引越しをすることにした。

 

当時は、まだ胡錦濤国家主席で、その後習近平国家主席になって腐敗撲滅が進められた。