漢方薬による鼻炎治療遍歴

1980年代に『子どもの鼻はママが治せる』(リヨン社)という本があり、母は新聞広告でこの本のことを知ったのか、とにかく買い求めてきた。

この本の治療法の主体は漢方薬で、著者の西田さんの名前を取って、この治療法を西田式と言った。

 

私は、小学低学年から複数の耳鼻科に通い、ネブライザーをしていたが、全く軽減しなかった。

西洋医学が無効なら、次は漢方で、というのは自然な流れである。

 

こちらの県では、市中心部近くにあるⅯ薬局が独占的に西田式を扱っていて、母は、当時小学4年生の私を連れてⅯ薬局へ行った。

初めて行った時、Ⅿ薬局の薬剤師は、「これまでに当薬局で西田式治療を行って、鼻炎が治らかった患者はいない」と言った。

母は、薬剤師に勧められるままに主役の漢方薬はもちろん、その他にもカルシウム補給のための「電解カルシウム液」、ビタミンやアミノ酸を補給するためのものか「ビーレバーキング液」、野菜を乾燥させた「ボンフライ」、乾布摩擦をするためのブラシなどを購入し、私も真面目に服用・実践した。

薬剤師から野菜炒めを食べるようにも言われて、故祖母が一度野菜炒めを作ってくれたこともあった。

 

この治療法を一年半ほど続けたか、あれこれ漢方薬を換えても効果が表われず、また薬局で買う漢方薬は保険がきかず高価なため、次第に足が遠のいた。

 

漢方薬による鼻炎治療は、その後、高校時代に一時期別の薬局でも試し、また30歳になってから中国滞在中に鼻炎が悪化したので帰国後すぐに漢方専門のクリニックで漢方薬を処方してもらったが全く効かなかった。

 

今から数年前に行った病院実習で、ある薬剤師が「鼻炎で小青竜湯を飲んでいるが効かない」とおっしゃっていた。

4年前に四十肩になった時、二朮湯がてきめんに効いて漢方薬の効果を初めて実感したが、こと慢性鼻炎や鼻閉に対しては漢方薬が効くのかどうか懐疑的である。