早逝した楊君の思い出

楊学金君は、青島のL大学日本語学科の元学生。

妻と同じ学年なので今年37歳前後。

先月、肺がんのためシンガポールで亡くなった。

悲しい気持ちに包まれた。

 

L大学日本語学科の当時の3年生の男子学生は、勉強に身が入っていない学生が多く、私と交流した男子学生は少なかった。

楊君は私と交流があった数少ない3年生の男子学生。

 

ある時、スピーチコンテストのことで私に相談したかったためか、彼は一度私の宿舎を訪ねて来たが、それが彼との最初の交流だった。

彼は、近々行われる日本語学科主催のスピーチコンテストに出場しようかと考えている、と話し、その際原稿を見ながらスピーチを行っても大丈夫かどうか聞いてきた。

私は、大多数の学生は参加をためらうスピーチコンテストに、出場するだけでも十分に価値があり、原稿を見ながらスピーチするかどうかは問題ではない、と伝えた。

その他に、彼は商売に興味があり、ガールフレンドとすでに携帯電話の仕事を始めている、ということや、

うる覚えだが、私と何か一緒に商売ができないか、ということも話していたと思う。

 

彼は、実際に、スピーチコンテストに出場し、原稿を見ながらスピーチした。

原稿を見ながらではあったが堂々とスピーチをしたと記憶している。

李先生を始めとした中国人の先生方は、ふさわしくないと思ったかもしれない。

発表前に、彼の原稿の添削をしてあげたかもしれないが覚えていない。

彼の日本語レベルで、大変な緊張を強いられるスピーチコンテストに出場するだけでも、大変勇気があり立派なことだ。

 

そんな気概に満ちた彼が志半ばで夢を絶たれてしまったことが残念でしかたがない。